お盆には仏壇や盆棚にお膳をお供えしますが、お膳のお椀の並べ方って、分かりにくいですね。
お膳をお供えするたびに、これで良かったのかと不安になります。
お盆のお膳の献立も何にしたらいいのか迷いますし、何だか難しそうに感じますね。
お盆のお膳というと特別な事のように思ってしまいますが、そんなことはありません。
この記事では、お盆にお供えするお膳のお椀の種類や並べ方、献立例も紹介します。
また、お膳の蓋をあけるタイミングや、4つのお椀の蓋の見分け方、お膳の向きについてもお伝えします。
お膳の並べ方や蓋の見分け方など慣れないと分かりにくいので、参考にしてくださいね。
お盆にお供えするお膳の並べ方は?
お盆に、帰ってこられるご先祖さまのためにお膳をお供えします。
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このお膳は、霊供膳(りょうぐぜん)供養膳(くようぜん)などと呼ばれて、人が使うお膳の四分の一くらいの大きさしかありません。
お膳はお盆の他にも、初七日・四十九日・祥月命日・お彼岸や法事のときにお供えされます。
高さのあるお膳の上に、4つのお椀と1つの高坏(たかつき)と塗りのお箸がセットになっていて、仏具店などで買うことができます。
色は総朱(全て朱色)・黒中朱(外側が黒で内側が朱色)があり、とても綺麗なのですよ。
お盆にお供えするお膳の並べ方
お供えするお膳のお椀と高坏には、並べ方にきまりがあります。
と言っても私たちが普段食べるお膳と大きな違いはありません。
お供えするお膳の並べ方
【手前左】親碗(おやわん)いちばん大きなお椀で、ごはんを盛るための器。
【手前右】汁椀(しるわん)少し小さめのお椀で、お味噌汁やお吸い物のための器。
【奥の左】平椀(ひらわん)平べったくて浅いお椀で、和え物や煮物のための器。
【奥の右】壺椀(つぼわん)直径が小さくて深いお椀で、煮豆や和え物のための器。
【中央】高坏(たかつき)脚がついた高さのある杯で、漬物など香の物ための器。
お箸は、お膳の手前に箸先が左になるように添えます。
地域によっては、奥の平椀と壺椀の並べ方の左右が逆のところもあるようです。
お膳は、手前を奥に向けてお供えします。
ご先祖さまが食べやすい向きで、一番手前からお箸、手前左側にご飯右側にお味噌汁という並べ方です。
また、お膳に家紋が入っている場合は、私たちの見える方に家紋を向けます。
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お盆にお供えするお膳の献立は?
お盆にお供えするお膳の献立は、ご飯に一汁三菜の精進料理です。
精進料理ですから、肉や魚は使いません。
肉や魚以外では、五辛といわれるにんにく・ネギ・ニラ・らっきょう・はじかみなどの香味野菜も避けてくださいね。
お盆にお供えするお膳というと、献立も何か特別なものと感じるかもしれませんが、そんなことはありません。
季節の野菜を使って、普段私たちが食べている献立でいいのですよ。
お盆にお供えするお膳の献立例
わたしの家でお盆にお供えしているお膳の献立です。
■ ご飯:親腕(いちばん大きなお椀)
ご飯は、親腕に大盛りにして、おしゃもじで形を整えながらしっかりと丸く盛ります。
盛り方には、ご家庭や地域によって違いがあるようです。
■ 味噌汁:汁椀(少し小さめなお椀)
豆腐とわかめのお味噌汁で、油揚げを入れることもあります。
豆腐は5ミリ程度の角切りで、わかめも1センチ程度と小さめに切ります。
■ 野菜の煮物:平椀(広く浅いお椀)
人参、里芋、だいこん、れんこん、いんげん、しいたけ、こんにゃく、油揚げなどのお煮しめです。
この中から数種類を選んで作ります。
■ 野菜の和え物:壺椀(小さく深いお椀)
ほうれん草の白和えやゴマ和えで、彩りに人参を加えます。
大根やもやしの酢の物や煮豆にすることもあります。
■ 香の物:高坏(脚のついた杯)
大豆の煮豆を盛り付けます。
たくわんや昆布の佃煮や梅干しなどでもいいですよ。
精進料理なので、出汁もかつおや煮干しなど動物性の物は使いませんし、お味噌汁にネギも入れません。
かまぼこやさつま揚げなども、原料が魚なので使うことができませんね。
器が小さいので、量はほんの少しずつなのですが、手間は多く作っても同じなので晩ごはんの献立にして、私たちも同じものをいただきます。
時間が無いときは、お味噌汁をインスタントにして壺椀を煮豆に、高坏に梅干し、平椀の煮物は出来合のお惣菜を買ってきたりすることもあります。
お盆にお供えするお膳の蓋はどうすればいいの?
お盆にお供えするお膳の器には、高坏以外のお椀には蓋があります。
蓋を閉めた状態でお供えをしますが、法要の前にはお坊様が蓋を取ってくださいます。
法要が終われば、お膳に蓋をして下げます。
蓋をすることで、「法要が終わりましたのでお膳をお下げしますよ」という合図になるんですね。
法要がない日は、蓋をしたままお供えをして、手を合わせる前にあけますが、その際蓋は横に重ねて置きます。
蓋を開けたまま数時間そのままにしておいて、お下げするときに蓋をします。
地域やご家庭によって、やり方はいろいろだと思います。
分かりにくいお椀の蓋
お膳には4つのお椀に蓋がありますが、これが分かりにくいのです。
いちばん直径の小さなものが、いちばん大きな親腕の蓋になります。
ご飯を丸く山盛りに盛った上に、蓋を帽子のようにちょこんと載せます。
どうしてこんなに小さな蓋なのか、よく分かりません。
他の3つの蓋は、汁椀・平椀・壺椀に合わせてみれば見当がつきます。
一番ピッタリくるものを選べばいいですよ。
お味噌汁を入れる少し小さめの汁椀は、お椀より蓋が小さいはめ込みの蓋です。
大きめで平たい平椀と小さくて深い壺椀は、お椀より蓋の口径が大きいかぶせる蓋になっています。
ご飯のお椀の蓋さえ分かれば、後は間違えることはありませんので、親腕の蓋は小さいことを頭に入れておくといいですね。
さいごに
お盆にお供えするお膳には、4つのお椀と1つの高杯があります。
お膳の並べ方は、手前左が親腕でご飯、右側が汁椀でお味噌汁です。
奥の左が平椀で野菜の煮物、奥の右が壺椀で和え物、中央が高杯で香の物となっています。
お盆にお供えするお膳の献立は、一汁一菜の精進料理が基本です。
精進料理ですので、肉や魚に五辛といわれるニンニクやネギなどを使ってはいけません。
それ以外の食材で作った、野菜の煮物や和え物をお供えします。
お膳のお椀の蓋は、お盆など法要の前にあけて法要が終わったら蓋をします。
お椀の蓋は間違えやすいのですが、いちばん小さい蓋がいちばん大きな親腕の蓋となります。
親腕の蓋が分かれば、他の3つは合わせてみれば見当がつきますよ。
汁椀は、はめ込み蓋で平椀と壺椀はかぶせる蓋です。
■お盆について必要となる常識一般についてまとめています。
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