キッチン家電のなかでも断然種類が多くて、値段の幅も広いのがオーブンレンジです。
多くのメーカーや機種から選べるのは嬉しいけれど、数が多すぎてどれを選べばいいのか困りますね。
メーカーの宣伝文句や便利な機能に目が行ってしまいがちですが、まずチェックしたいのが、加熱方式とセンサーの比較です。
最初にその機種のパワーや、加熱制御の方法、オーブンの温度などの基本的な性能をチェックしたら、センサーの種類で比較しましょう。
あとは、スチーム機能の違いやその他自分のこだわりポイントを確認して検討すると良いですね。
オーブンレンジの加熱方式でまずは性能をチェック
オーブンレンジ選びでは、つい便利な機能に目が行ってしまいますが、一番重要なのは、加熱方式です。
加熱方式により、レンジの出力やオーブンの最高温度、ヒーターのパワーに差が出ますからね。
オーブンの加熱方式
上位機種に搭載されているのが、コンベクションタイプ(熱風式)で、ファンで熱風を行き渡らせることによって、庫内全体を高温に保って加熱することができます。
二段調理はすべてこのタイプで、ムラ無く焼けることが強みなので、たくさんの量をいっしょに調理できますし、火がとおりにくい肉などもまるごと焼くことやパンやお菓子作りに向いています。
対して上下ヒーター式では、輻射熱で加熱するので二段調理はできません。
二段に入れられるからと言って上下一緒に焼けるわけじゃないのですね。
上下ヒーター式は、コンベクションタイプに比べて庫内全体を均等に同じ状態に保ちにくいのですが、その分価格が抑えられています。
私が購入したのは上下ヒーター式ですが、火力が弱くて困ったなんていうことは全くありませんよ。
シュウマイや蒸し魚、グリル機能で鶏肉を焼いたり、オーブンでぎゅうぎゅう焼きもしましたが、予想以上においしく出来て大満足しています。
コンベクションタイプに比べるとパワーは劣るのでしょうが、私が作る料理は量も多くないので二段調理や広い庫内も必要ありません。
庫内が広すぎると逆に持て余しそうなので、このくらいのパワーで丁度いいのかもしれません。
このように高機能の機種が自分に合うとは限りませんので、使い方によって選ぶといいですね。
レンジの出力
電子レンジの自動あたため機能の出力(インバーター)は、最高出力のワット数が大きく、継続時間が長いほど早くあたためることができますが、最大出力での連続運転時間はどの機種も大体3分程度なのであまり気にする必要はありません。
それよりも手動での選べるワット数が多い方が、絶対便利ですよ。
なぜかというと、食材の量が少なかったり、フタをしたまま温めたい場合などは、センサーがうまく働かないことが多いのです。
そんなときは、時間やワット数を指定して自分で好きなように調節するほうが、ストレスがありません。
私は、細切れ肉などを50グラムの小分けにして冷凍しておき、必要な量だけを解凍して料理に使うようにしています。
50グラムを600ワット以上で解凍すると、白く煮えてる部分とまだ凍っているところがまだらになってしまいます。
こうなると白い部分は硬くなっておいしくないですし、ほぐすこともできません。
また、いかやコーンなどのはじけやすいものは、低いワット数で様子をみながらゆっくり加熱すれば上手に温められます。
このように食材の状態や量によって火力を調整するためには、選べるワット数の多いほうが美味しくあたためや解凍ができるというわけです。
オーブンレンジのセンサーを比較して選ぶ
オーブンレンジには、たいてい自動のあたため機能が付いています。
スイッチを押すだけで適温にあたためてくれる、とても便利な機能です。
もちろん手動で温度設定や時間の調節であたためることは可能ですが、レンジにおまかせできればいちばん楽ですよね。
レンジにおまかせするための加熱を制御しているセンサーが、うまく働かなければ温めも上手にできないことになってしまいます。
自動あたため機能以外でも、温度指定やオーブン料理での食材の状態の見極めなどでセンサーは大活躍しているのですね。
センサーにはいくつかの種類があって、それぞれに長所と弱点がありますが、複数の組み合わせやメーカー独自の工夫でどんどん進化しています。
オーブンレンジを選ぶときには、センサーの種類を必ずチェックしてくださいね。
重量センサー
重さを計って加熱時間を調節します。
これの欠点は容器の重さがプラスされて計ることと、食品の温度を考慮していないところです。
たとえば冷蔵庫に入れていたものと常温のものや、紙皿と重たい陶器皿に入れたものなどレンジにはそれらの情報が伝わりません。
それに、重さだけでは食品の状態って分かりませんしね。
この重量センサーのいいところは、温度に左右されないところです。
ですので、赤外線センサーにプラスして搭載している機種が増えています。
蒸気センサー
食品を加熱することで出る、蒸気の量により加熱時間を決定します。
蒸気が出る状態なら問題ないのですが、ラップやフタをしていると蒸気の量を察知できないので、加熱しすぎて大変なことになってしまいます。
冷凍ものはたいていラップをしたまま解凍しますので、使いにくいってことになりますね。
また、食品の水分の多少によっても蒸気の量が変わるので、的確なあたためができません。
温度センサー
庫内の温度を測って加熱を調整します。
食品自体の温度を計るわけではないので誤差がでますし、オーブン機能を使った後などは冷えるまで使えません。
例えば、お皿に盛ったあとにもう少しレンジで温めようとした場合などは、庫内の温度で判断すると温めすぎになって表面が干からびてしまうかもしれませんね。
赤外線センサー
食品からの赤外線の量により温度を測って、加熱時間を調整します。
他のセンサーに比べて正確なので上位機種にも使われていますが、これにも弱点があります。
オーブン機能を使った後などで庫内が熱いと正確に機能しないんですね。
その他
それぞれのセンサーの欠点を補うために、重量+赤外線や重量+温度を組み合わせたタイプなども増えています。
また、赤外線センサーを複数つけることで庫内が熱くても大丈夫だったり、異なる食材を見分けて温度が低い部分を集中的に加熱できる機種もでています。
このように自動あたためや加熱機能は、どんどん進化しているのです。
オーブンレンジのスチームの違いは?
スチーム機能(蒸す)が付いたオーブンレンジも増えてきましたね。
スチームと一言で言ってもいろいろな種類があって、「出来ること」が違うのですよ。
角皿スチーム
オーブンを使うときに、角皿にお湯を入れて茶碗蒸しやプリンを蒸し焼きにします。
これは機能というよりもひとつの調理方法で、スチームの量やタイミングの調整はできません。
とりあえず水が熱せられて蒸発するだけのものなので、蒸気の量も少なく勢いもないのでスチームの効果も期待できないですね。
タンク式スチーム
取り付けの給水タンクに水を入れて、レンジやオーブン使用時に庫内にスチームを発生させます。
スチームの量や噴射するタイミングを指定することができるので、蒸し料理を手軽に作ることができます。
私が購入した機種はこのタイプで蒸し器を出す手間が無くなったおかげで、蒸し料理が大好きになりました。
シュウマイや蒸し魚料理など、初挑戦で作りましたが自分ながら上出来で嬉しくなっています。
魚や野菜の素材本来の味を楽しめますし、余分な味付けや油も使わないので、健康的ですしね。
また、レンジとスチームでひき肉などの解凍もムラなく、使いやすい状態にすばやく解凍することができるので、とても便利ですよ。
過熱水蒸気
スチームを過熱して高温の過熱水蒸気を発生させます。
高温なの表面が固まるまえに内側から、肉や魚の余分な脂や塩分を流れ落として、グリルやオーブンで焼き上げることができますし、お菓子やケーキも生地が乾燥せず、しっとりふっくら仕上がります。
また、缶詰やレトルトパックもそのままあたためられるというのですから、驚きますね。
このようにスチームでも水分が蒸発するだけのものから、本格的な過熱水蒸気機能付きまで幅広いので、自分が何に使いたいかをはっきりさせて選ぶといいですね。
さいごに
オーブンレンジ選びは、種類が多くて値段の幅が広いのでとても迷ってしまいますね。
便利な機能などの宣伝文句につられて選んでしまいがちですが、まずチェックしておきたいのが、次の3項目です。
1.加熱方式
・ファンによる熱風が、食品を包み込んで焼き上げるコンベクションタイプ(熱風式)。
ムラができにくく、高温が可能でパンやケーキを焼くのが得意で2段調理が可能
・上下のヒーターによる輻射熱で加熱する上下ヒーター式。
コンベクションタイプに比べると、ムラができやすく温度も上がりにくい。
2段調理はできないが、価格が低め。
2.センサー比較
・重量センサー
容器の重さや食品の温度で誤差がでるので正確性は低い
・蒸気センサー
ラップやフタをした場合は、センサーが役に立たない。
・温度センサー
食品ではなく庫内の温度を感知するため誤差がでやすい。
・赤外線センサー
食品の表面温度を感知して働くので正確だが、庫内が熱い場合は機能しない。
高位機種は、複数のセンサーの組み合わせや独自の技術で食品を識別できたりと、進化している。
3.スチームの違い
・角皿スチーム
角皿にお湯を入れて蒸し焼きにする
・タンク型スチーム
タンク式のため量や噴出のタイミングを指定できるので、蒸し料理や解凍に便利
・過熱水蒸気
スチームを高熱にすることで、余分な脂や塩分を落とす調理が可能
まずはこれらの基本機能をチェックしたあと、便利な機能やおすすめポイントを比較して選ぶと分かりやすいですよ。
高機能な機種が自分に合うとは限りませんので、実際に使う場面を想像して価格を比較しながら、自分にベストな機種を選ぶようにしましょう。